[イーデイリーKIM JI-WAN 記者] 人工知能(AI)が数万、数十万個の抗体を迅速に設計する時代が到来していますが、AIが提示した設計図がそのまま新薬候補になるわけではありません。実際に抗体を作り出し、疾患の標的に適切に結合するか、生産は順調か、高温や酸性環境下でも安定しているかを確認する必要があります。プロティナは、今後、AIによる新薬開発のボトルネックが、まさにこの「実際の実験」段階に現れると見ています。
プロティナは、質の高い抗原・抗体相互作用の実験データ(Wet-lab data)に基づくデータベースを構築しています。(提供=プロティナ)
プロティナのファン・ソンテク取締役は、先月28日に『イーデイリー』との取材ミーティングで、「AIが1時間で10万個の抗体を設計したとしても、それを実際に確認するのに数ヶ月かかってしまっては意味が薄れてしまいます」と述べ、「プロティナの競争力は、AIが作り出した数多くの候補を実際の抗体として製造し、迅速に試験して優れた物質を選別することにあります」と強調しました。
その中心にあるのが、プロティナが約16年間にわたり開発してきたSPIDです。SPIDは、少量の試料で数多くの抗体を同時に比較できるプラットフォームです。抗体が標的にいかにうまく結合するかだけでなく、生産性・熱安定性・pH感受性、細胞内取り込み、免疫原性、凝集性など、実際の医薬品として開発する際に必要な特性まで、まとめて確認できるというのが同社側の説明です。 現在、週あたり約1万件の抗体データを生成しており、通常2~3年かかる抗体の最適化プロセスを3~6ヶ月程度にまで短縮した事例もあるとのことです。以下は、プロティナのファン・ソンテク取締役との一問一答です。
△プロティナの最大の技術的競争力は何でしょうか。
-AIモデル自体も重要ですが、今後さらに大きな課題となるのは、AIが生成した候補を実際にどれほど迅速に試験できるかという点です。AIが10万個を設計しても、実際の実験が数百個しか行えなければ、新薬開発全体のスピードは向上しません。当社が最も自信を持っている点は、SPIDを利用して数多くの抗体を実際に生成し、大規模に検証できるということです。
△SPIDをバイオに詳しくない方にわかりやすく説明するとしたら。
-AIが「このような抗体が良さそうだ」と設計した場合、実際にその抗体を試験してみる技術だと考えていただければ結構です。 コンピュータの中で計算だけを行うわけではありません。DNAを注文し、細胞内で実際に抗体を作製した後、標的にしっかりと結合するかどうかを確認します。また、生産性は良好か、熱に強いか、体内の環境でも安定しているかなども併せて確認します。つまり、SPIDの核心は、「結合性の良い抗体」を見つけるだけで終わるのではなく、数多くの候補の中から「実際に薬となり得る抗体」を迅速に選別することにあります。
△SPIDはどのような装置と技術で構成されているのでしょうか。
-Pi-ChipやPi-View、Pi-InSightなどを当社が独自に開発しました。外部の装置を購入して単に改良しただけではありません。代表が電子工学を専攻しており、チップ技術から始めて約16年間にわたり独自のプラットフォームを構築してきました。その核心は、ごく少量の試料からでも、抗体と標的タンパク質が結合する様子を正確に観察できるという点にあります。
△少量の試料でも分析できる理由は何でしょうか。
-細胞で抗体を生成すると、培養液の中には抗体だけでなく、様々なタンパク質や不純物が混ざっています。一般的な表面にそのまま載せると、こうしたものが一緒に付着してしまい、正確な測定が困難になります。当社のPi-Chipは、目的の抗体のシグナルを捉えつつ、不要な物質が付着する現象を最大限に抑えるよう表面を処理しました。そのため、複雑な精製工程を省いても分析が可能です。
△従来のSPR・BLIとの最大の違いは何でしょうか。
-従来の方式では、結合力を測定した後、生産性を確認するために再び別の装置を使用したり、さらに安定性を別途試験したりするなど、複数の段階を経る場合が多いです。この過程で問題が見つかった場合、前の段階に戻って新たな候補を試験しなければなりません。また、抗体を大量生産し、不純物を除去する精製工程や、さまざまな分析段階を経る中で、サンプルの一部が失われたり、状態が変化したりする可能性もあります。 実際の生産量を本来の状態で把握することが難しくなる可能性もあります。
SPIDは、細胞で作られた抗体を微量な状態で直接分析し、同じプラットフォームを用いて結合力だけでなく、生産性、熱安定性、pH感受性などを連続的に確認することができます。複数の装置や段階を行き来して繰り返していた工程を削減し、数多くの候補の中から失敗の可能性が高い抗体を初期段階で迅速に選別できる点が、最大の違いです。
※ SPR(Surface Plasmon Resonance・表面プラズモン共鳴):抗体と標的タンパク質がどれほど強く結合し、どれほど容易に離れるかを、光の変化を利用して測定する代表的な分析技術です。抗体の結合力を精密に測定するために広く用いられています。
※ BLI(Bio-Layer Interferometry・バイオレイヤー干渉法):センサー表面に抗体やタンパク質を固定した後、他の物質と結合する際に生じる光の変化を測定します。複数の試料を同時に分析しやすいという利点があります。
プロティナ社のSPIDプラットフォームは、競合技術に比べて圧倒的な性能と経済性を備えています。(提供=プロティナ社)。
△AIが10万個の抗体を設計したら、その次はどのようになるのでしょうか。
-例えば、10万個のうち実際に作られ、標的へ結合する抗体が20%だとすれば、2万個が残ります。しかし、この2万個が新薬候補というわけではありません。ここからが本番です。2万個の中から結合力の良い抗体を数百個に絞り込み、その中から生産性の良いものをさらに選別します。その後、熱安定性やpHに対する安定性などを確認しながら、数十個程度まで絞り込みます。 最後に、より詳細な試験を経て、最終候補を数種類に決定します。多くの候補を、実際に薬になる可能性が高い数種類へと迅速に絞り込むことが、SPIDの役割だとお考えください。
△従来の抗体開発と比較して、どれだけの物質を試験できるのでしょうか。
-従来は、研究者の経験や論文を参考に、「このアミノ酸を変えれば良くなりそうだ」と判断し、20個、多い場合は50個程度を作成して試験する場合が多かったです。 弊社では、1つの抗体から数百、数千もの変化を実際に作り出し、データを確認しています。ある事例では、約1000個のレベルから始め、追加の組み合わせを通じて630個程度を1ヶ月以内に分析し、元の抗体よりも結合力が10倍以上向上した物質を確認しました。別のプロジェクトでは、数十倍のレベルで改善された事例もありました。
△開発期間も実際に短縮されるのでしょうか。
-抗体ごとに違いがあるため、一概に同じ期間だとは言えません。ただし、通常2~3年程度かかるプロセスを3~6ヶ月程度まで短縮した事例があります。多くの候補を同時に試験することで、可能性の低い物質を初期段階で選別できるからです。
△現在、どれくらいの数の抗体を処理できますか。
-現在、実際のプロジェクトにおいて、週あたり約1万個レベルのデータを生成しています。設備とプロジェクトを調整すれば、月3万~4万個程度まで可能です。今後は自動化を拡大し、2027年第1四半期には月10万個、その後は50万個レベルまで増やし、2028年には月100万個レベルまで処理することを目標としています。
△AIとSPIDはどのように連携しているのですか。
-AIが抗体を設計し、SPIDが実際の実験を通じてそれが正しいか間違っているかを確認します。そして、その結果を再びAIに学習させます。AIにとっては、成功したデータだけが重要なわけではありません。「このように設計したところ、抗体が作られなかった」、「作られたが標的には結合しなかった」といった失敗データも重要です。 当社はソウル大学の研究チームと2024年からこうした作業を続けており、約50万件のデータをもとにAIモデルの学習を進めてきました。
△結局、AIモデルよりも実験データの方が重要になるという意味でしょうか。
-AIが重要ではないという意味ではなく、AIモデルの水準が全体的に向上することで、今後どのような変化がもたらされるかという点です。プロティナもソウル大学のペク・ミンギョン教授のチームと共に、2024年4月から科学技術情報通信部の国策課題の支援を受けてAI技術を開発しています。ただ、優れたAIモデルが非常に多く登場しており、オープンソースとして利用できる技術も増えています。 今後は、誰がAIモデルを一つ持っているかよりも、誰がAIが生成した物質を実際に迅速に検証し、良質な実験データを継続的に蓄積できるかが、より重要になる可能性があると考えます。
△抗体最適化サービスの収益性については。
-抗体最適化プロジェクト1件につき、通常1億~2億ウォン程度を受け取ることができます。しかし、このようなプロジェクトを数十件繰り返すだけの事業では、会社が大きく成長するには限界があると判断しました。そのため、単に報酬を受け取って抗体を改善するサービスよりも、共同開発へと方向転換しています。当社の技術で優れた候補物質を作り出した後、パートナー企業と共に開発を進め、将来的に技術移転が行われた際に、より大きな価値を共に得るという仕組みです。
△大規模検証サービスと新薬の共同開発、どちらが主力なのでしょうか。
-両事業は相互に関連しています。外部のAI新薬開発企業が作成した数多くの抗体を大規模に検証する事業では、現金を生み出すことができます。その資金を、再び自社のパイプラインや共同開発の新薬に投資するのです。 プロティナが最終的に目指すのは、優れた新薬候補を迅速に創出し、継続的にライセンスアウトを行う企業です。新薬を開発するたびに外部から数百億ウォンを調達する企業ではなく、独自の技術で収益を上げ、その資金を再び新薬開発に充てる自立型のAI新薬開発企業となることが目標です。
プロティナのファン・ソンテク取締役は、先月28日に『イーデイリー』との取材ミーティングで、「AIが1時間で10万個の抗体を設計したとしても、それを実際に確認するのに数ヶ月かかってしまっては意味が薄れてしまいます」と述べ、「プロティナの競争力は、AIが作り出した数多くの候補を実際の抗体として製造し、迅速に試験して優れた物質を選別することにあります」と強調しました。
その中心にあるのが、プロティナが約16年間にわたり開発してきたSPIDです。SPIDは、少量の試料で数多くの抗体を同時に比較できるプラットフォームです。抗体が標的にいかにうまく結合するかだけでなく、生産性・熱安定性・pH感受性、細胞内取り込み、免疫原性、凝集性など、実際の医薬品として開発する際に必要な特性まで、まとめて確認できるというのが同社側の説明です。 現在、週あたり約1万件の抗体データを生成しており、通常2~3年かかる抗体の最適化プロセスを3~6ヶ月程度にまで短縮した事例もあるとのことです。以下は、プロティナのファン・ソンテク取締役との一問一答です。
△プロティナの最大の技術的競争力は何でしょうか。
-AIモデル自体も重要ですが、今後さらに大きな課題となるのは、AIが生成した候補を実際にどれほど迅速に試験できるかという点です。AIが10万個を設計しても、実際の実験が数百個しか行えなければ、新薬開発全体のスピードは向上しません。当社が最も自信を持っている点は、SPIDを利用して数多くの抗体を実際に生成し、大規模に検証できるということです。
△SPIDをバイオに詳しくない方にわかりやすく説明するとしたら。
-AIが「このような抗体が良さそうだ」と設計した場合、実際にその抗体を試験してみる技術だと考えていただければ結構です。 コンピュータの中で計算だけを行うわけではありません。DNAを注文し、細胞内で実際に抗体を作製した後、標的にしっかりと結合するかどうかを確認します。また、生産性は良好か、熱に強いか、体内の環境でも安定しているかなども併せて確認します。つまり、SPIDの核心は、「結合性の良い抗体」を見つけるだけで終わるのではなく、数多くの候補の中から「実際に薬となり得る抗体」を迅速に選別することにあります。
△SPIDはどのような装置と技術で構成されているのでしょうか。
-Pi-ChipやPi-View、Pi-InSightなどを当社が独自に開発しました。外部の装置を購入して単に改良しただけではありません。代表が電子工学を専攻しており、チップ技術から始めて約16年間にわたり独自のプラットフォームを構築してきました。その核心は、ごく少量の試料からでも、抗体と標的タンパク質が結合する様子を正確に観察できるという点にあります。
△少量の試料でも分析できる理由は何でしょうか。
-細胞で抗体を生成すると、培養液の中には抗体だけでなく、様々なタンパク質や不純物が混ざっています。一般的な表面にそのまま載せると、こうしたものが一緒に付着してしまい、正確な測定が困難になります。当社のPi-Chipは、目的の抗体のシグナルを捉えつつ、不要な物質が付着する現象を最大限に抑えるよう表面を処理しました。そのため、複雑な精製工程を省いても分析が可能です。
△従来のSPR・BLIとの最大の違いは何でしょうか。
-従来の方式では、結合力を測定した後、生産性を確認するために再び別の装置を使用したり、さらに安定性を別途試験したりするなど、複数の段階を経る場合が多いです。この過程で問題が見つかった場合、前の段階に戻って新たな候補を試験しなければなりません。また、抗体を大量生産し、不純物を除去する精製工程や、さまざまな分析段階を経る中で、サンプルの一部が失われたり、状態が変化したりする可能性もあります。 実際の生産量を本来の状態で把握することが難しくなる可能性もあります。
SPIDは、細胞で作られた抗体を微量な状態で直接分析し、同じプラットフォームを用いて結合力だけでなく、生産性、熱安定性、pH感受性などを連続的に確認することができます。複数の装置や段階を行き来して繰り返していた工程を削減し、数多くの候補の中から失敗の可能性が高い抗体を初期段階で迅速に選別できる点が、最大の違いです。
※ SPR(Surface Plasmon Resonance・表面プラズモン共鳴):抗体と標的タンパク質がどれほど強く結合し、どれほど容易に離れるかを、光の変化を利用して測定する代表的な分析技術です。抗体の結合力を精密に測定するために広く用いられています。
※ BLI(Bio-Layer Interferometry・バイオレイヤー干渉法):センサー表面に抗体やタンパク質を固定した後、他の物質と結合する際に生じる光の変化を測定します。複数の試料を同時に分析しやすいという利点があります。
△AIが10万個の抗体を設計したら、その次はどのようになるのでしょうか。
-例えば、10万個のうち実際に作られ、標的へ結合する抗体が20%だとすれば、2万個が残ります。しかし、この2万個が新薬候補というわけではありません。ここからが本番です。2万個の中から結合力の良い抗体を数百個に絞り込み、その中から生産性の良いものをさらに選別します。その後、熱安定性やpHに対する安定性などを確認しながら、数十個程度まで絞り込みます。 最後に、より詳細な試験を経て、最終候補を数種類に決定します。多くの候補を、実際に薬になる可能性が高い数種類へと迅速に絞り込むことが、SPIDの役割だとお考えください。
△従来の抗体開発と比較して、どれだけの物質を試験できるのでしょうか。
-従来は、研究者の経験や論文を参考に、「このアミノ酸を変えれば良くなりそうだ」と判断し、20個、多い場合は50個程度を作成して試験する場合が多かったです。 弊社では、1つの抗体から数百、数千もの変化を実際に作り出し、データを確認しています。ある事例では、約1000個のレベルから始め、追加の組み合わせを通じて630個程度を1ヶ月以内に分析し、元の抗体よりも結合力が10倍以上向上した物質を確認しました。別のプロジェクトでは、数十倍のレベルで改善された事例もありました。
△開発期間も実際に短縮されるのでしょうか。
-抗体ごとに違いがあるため、一概に同じ期間だとは言えません。ただし、通常2~3年程度かかるプロセスを3~6ヶ月程度まで短縮した事例があります。多くの候補を同時に試験することで、可能性の低い物質を初期段階で選別できるからです。
△現在、どれくらいの数の抗体を処理できますか。
-現在、実際のプロジェクトにおいて、週あたり約1万個レベルのデータを生成しています。設備とプロジェクトを調整すれば、月3万~4万個程度まで可能です。今後は自動化を拡大し、2027年第1四半期には月10万個、その後は50万個レベルまで増やし、2028年には月100万個レベルまで処理することを目標としています。
△AIとSPIDはどのように連携しているのですか。
-AIが抗体を設計し、SPIDが実際の実験を通じてそれが正しいか間違っているかを確認します。そして、その結果を再びAIに学習させます。AIにとっては、成功したデータだけが重要なわけではありません。「このように設計したところ、抗体が作られなかった」、「作られたが標的には結合しなかった」といった失敗データも重要です。 当社はソウル大学の研究チームと2024年からこうした作業を続けており、約50万件のデータをもとにAIモデルの学習を進めてきました。
△結局、AIモデルよりも実験データの方が重要になるという意味でしょうか。
-AIが重要ではないという意味ではなく、AIモデルの水準が全体的に向上することで、今後どのような変化がもたらされるかという点です。プロティナもソウル大学のペク・ミンギョン教授のチームと共に、2024年4月から科学技術情報通信部の国策課題の支援を受けてAI技術を開発しています。ただ、優れたAIモデルが非常に多く登場しており、オープンソースとして利用できる技術も増えています。 今後は、誰がAIモデルを一つ持っているかよりも、誰がAIが生成した物質を実際に迅速に検証し、良質な実験データを継続的に蓄積できるかが、より重要になる可能性があると考えます。
△抗体最適化サービスの収益性については。
-抗体最適化プロジェクト1件につき、通常1億~2億ウォン程度を受け取ることができます。しかし、このようなプロジェクトを数十件繰り返すだけの事業では、会社が大きく成長するには限界があると判断しました。そのため、単に報酬を受け取って抗体を改善するサービスよりも、共同開発へと方向転換しています。当社の技術で優れた候補物質を作り出した後、パートナー企業と共に開発を進め、将来的に技術移転が行われた際に、より大きな価値を共に得るという仕組みです。
△大規模検証サービスと新薬の共同開発、どちらが主力なのでしょうか。
-両事業は相互に関連しています。外部のAI新薬開発企業が作成した数多くの抗体を大規模に検証する事業では、現金を生み出すことができます。その資金を、再び自社のパイプラインや共同開発の新薬に投資するのです。 プロティナが最終的に目指すのは、優れた新薬候補を迅速に創出し、継続的にライセンスアウトを行う企業です。新薬を開発するたびに外部から数百億ウォンを調達する企業ではなく、独自の技術で収益を上げ、その資金を再び新薬開発に充てる自立型のAI新薬開発企業となることが目標です。