テクノロジー

健康保険審査評価院、AI審査を初導入…AI医療、「静かな恩恵」の幕が開くか [AIヘルスケア]

Kim Seung-kwon
2026-09-20 09:01:02
[イーデイリーKim Seung-kwon 記者] 健康保険審査評価院が、人工知能(AI)による医療画像読影の結果を診療費審査業務に初めて適用しました。国家機関がAI読影を「参考資料」ではなく「業務の根拠」として活用し始めた初めての事例です。国内のAI画像診断企業の国内売上構造が、この点で変化する可能性があるとの見方が出ています。

同院は2018年からディープラーニングに基づく読影システムを構築し、脊椎・膝関節・尿路結石の画像に対するAI読影結果を審査の参考資料として活用してきましたが、検証を終えた膝関節(変形性関節症)分野から実際の審査業務に適用しました。今後は脊椎・尿路結石などへ適用範囲を段階的に広げていく計画です。

クレスコムの定量的AIによる膝関節炎重症度評価ソリューション

◇膝はクレスコム、インフラはディープノイド…供給体制の推定

健康保険審査評価院は、どの企業のアルゴリズムを使用しているか明らかにしていません。ただし、公開された資料を総合すると、供給の構図はかなり絞り込まれます。

膝分野の有力候補は、筋骨格系AI企業のクレスコムです。クレスコムは、健康保険審査評価院の「膝関節炎保険給付審査支援システム」構築事業に選定され、KL(ケルグレン・ローレンス)グレード自動分析AI「MediAI-OA」を構築し、当該ソリューションが健康保険審査評価院の膝関節炎給付審査業務に活用されています。 MediAI-OAは、KLグレードや骨棘の形成の有無、関節間隙の減少程度を定量的に提供するソリューションであり、2024年4月に第2種医療機器の製造許可を取得しました。今年6月には、米国食品医薬品局(FDA)の510(k)許可も取得しました。今回の膝関節への適用において、中核となるエンジンがMediAI-OAである可能性が高いと推測される理由です。

画像インフラの分野では、DEEPNOID Inc.(315640)が挙げられています。健康保険審査評価院は、AI画像の保存・送信システムの構築に、DeepNoidのAI画像読影支援ソリューション「DeepFax」を活用してきたことが知られています。DeepNoidが脊椎疾患向けのAIソリューションを保有しているという点から、同院が予告した脊椎分野の拡大局面において、さらなる恩恵を受ける余地が開ける可能性があるとの観測も可能です。Lunit Inc.(328130) 、VUNO, Inc.(338220) など、AI画像診断技術を保有する企業の国内売上拡大も期待される状況です。


◇真の変数は「医療機関の防衛需要」

恩恵を受ける論理の核心は、健康保険審査評価院による調達そのものではありません。同院の委託業務規模は通常、数億ウォン台であり、上場企業の業績を動かすことは困難です。

注目すべきは医療機関側です。人工関節置換術などの主要な保険適用基準は、KLグレードや関節間隔といった画像指標と連動しています。健康保険審査評価院が同一のAIを用いて請求画像を一括選別し始めれば、病院や診療所は減額を避けるため、同じ基準で請求前に自主検証を行うインセンティブが生まれます。 審査機関が用いる基準を医療機関も採用せざるを得ない構造であり、国内の画像AIにおいて初めて「診療報酬がなくても売れる」内需が形成される可能性があるという意味です。

国家機関によるリファレンス効果も無視できません。国民健康保険の審査に採用された実績は、海外の公共入札や大手病院への営業において強力な根拠として活用されます。

ただし、制度的なボトルネックは依然として残っています。食品医薬品安全庁の許可を受けたAI医療機器549件のうち、統合審査を経て正式な給付対象となったのは28件、評価猶予により一時的な給付が適用されたのは21件にとどまっています。残りの91%以上は、健康保険制度に組み込まれていない状態です。

AI医療業界のある関係者は、「審査評価院が蓄積されたデータを用いてモデルを独自に高度化する仕組みであるという点も、供給業者への依存度を低下させる要因だ」とし、「審査の強化が医療機関の保険給付売上を減少させ、かえってAI導入のインセンティブを削ぐ可能性についても併せて考慮すべきだ」と述べました。

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