[イーデイリーKIM SAE-MI 記者]Celltrion(068270) 代表的なバイオシミラー「ラムシマ」が、日本で先発医薬品を抑えて処方数1位に躍り出ました。欧州を中心に急速に市場を拡大してきたラムシマですが、日本でトップの座に就くまでには約11年を要しました。価格が安いというバイオシミラーの利点だけではなかなか浸透しない日本特有の環境において、現地のパートナーや直販組織を前面に押し出し、着実に医療従事者の信頼を築き上げた結果です。
セルトリオンの自己免疫疾患向けバイオシミラー「ラムシマ」(写真=セルトリオン)
先発医薬品を含め、計4つのインフリキシマブ製品が競合している日本市場で、初めて1位を獲得したのです。セルトリオンは、日本での発売から約11年を経てラムシマが首位に立った背景として、現地市場の特性に合わせた販売戦略を挙げました。
代表的な分野が、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)などの炎症性腸疾患(IBD)です。日本には、患者の医療費負担を軽減するための「高額療養費制度」が運用されており、潰瘍性大腸炎とクローン病は、日本政府の「指定難病」にそれぞれ含まれています。
高額療養費制度とは、患者が1か月間に負担した医療費が、年齢や所得などに応じて定められた上限額を超えた場合、その超過分を公的医療保険が支援する制度です。このため、高価なバイオ医薬品を使用している一部の患者の場合、先発医薬品から比較的安価なバイオシミラーに切り替えても、体感される自己負担額の差がそれほど大きくない可能性があります。
指定難病とは、特定の疾患について、患者が一般的な自己負担率と所得水準に基づく月額上限額のいずれか低い方の金額が適用されるようにし、医療費の負担を軽減する制度です。結局、薬価が下がってもその差が患者の実際の負担軽減に完全にはつながらない場合があり、バイオシミラーへの切り替えに対する経済的なインセンティブが相対的に弱まることになります。
日本のバイオシミラー協議会が2020年に実施した専門家座談会でも、同様の指摘がなされました。当時の兵庫医科大学炎症性腸疾患センター内科診療部長であった渡辺健二氏は、「IBDは医療費支援制度により自己負担上限額が非常に低いため、バイオシミラーに切り替えても患者の自己負担額が減少する事例は少ない」と述べました。
日本の厚生労働省もまた、過去、インフリキシマブなど一部の成分において、公的医療費支援制度がバイオシミラーへの切り替えのインセンティブを低下させる要因となり得ると分析しました。つまり、日本のIBD市場は、バイオシミラーがオリジナル薬よりも安いという価格競争力だけでは勝負が難しい環境にあると言えます。
セルトリオンは、現地の製薬市場の特性に合わせた日本型販売戦略に力を注いできました。 セルトリオンは、日本市場では国内企業の影響力が大きいと判断し、日本化薬(Nippon Kayaku)をパートナー企業に選定して、ラムシマの初期市場定着と処方拡大に乗り出しました。日本市場への理解と営業ノウハウを蓄積し、現地の専門人材を拡充した後、2017年末にはセルトリオンの日本法人もラムシマの販売に本格的に参入しました。
現地のパートナーと自社の営業網を併用する「ツートラック戦略」を採用したのです。大規模病院から中小規模の医療機関まで供給チャネルが細分化されている日本において、セルトリオン日本法人とパートナー企業が、それぞれ強みを持つチャネルに集中することで、営業の死角を減らしたというのが同社側の説明です。
現在、セルトリオン日本法人には、営業専任スタッフを含め約80名の役職員が勤務しています。これは、セルトリオンの海外法人全体の人員の約8%に相当する規模です。日本市場において、長期にわたり直接的な接点を増やすために、相当な人員を投入してきたことになります。
セルトリオン日本法人のイ・ジュンヒョクチーム長は、「日本の製薬市場では、医療機関ごとの特性や意思決定構造を考慮した持続的な現場営業が重要だ」とし、「単純な価格競争よりも、医療従事者との接点を継続的に拡大して長期的な信頼を築くと同時に、現地市場の環境に最適化された営業・マーケティング戦略を着実に推進したことが、ラムシマの成果につながった」と説明しました。
こうした成果は、グローバル製薬会社が日本国内での医薬品の直販をやめ、現地企業に委託する事例とは対照的だという評価も出ています。
サノフィは去る4月から、日本の大保薬品に「ゼブタナ」の日本における販売・マーケティング業務を移管しました。ゼブタナは2014年の日本発売以来、サノフィが直販してきた前立腺がん治療薬です。業界関係者は、「これはグローバル大手製薬会社でさえ日本での直販を断念するほど、現地の営業活動が困難であることを示す事例だ」と解釈しました。
セルトリオンは、ラムシマを足掛かりに、日本の自己免疫疾患市場においてポートフォリオ戦略を強化しています。現在、ラムシマ以外にも、アダリムマブバイオシミラー「ユフライマ」、トシリズマブバイオシミラー「アプトズマ」、ウステキヌマブバイオシミラー「ステキマ」を販売しています。 来年には、皮下注射(SC)製剤である「ラムシマSC」の日本での発売も準備しています。
11年ぶりに確保したラムシマのトップの座が、単一製品の成果にとどまらず、後続製品の市場定着を早める足掛かりとなるかどうか、期待される点です。
イ・チーム長は、「セルトリオンはラムシマ以外にも、ユーフライマ、アプトズマなど競争力のある治療薬を多岐にわたり保有しているだけに、より多くの日本の患者様に治療の恩恵が届くよう、製品ごとの事業戦略をさらに緻密に推進していく計画です」と述べました。
18日、医薬品市場調査機関のアイキュービア(IQVIA)および現地のデータに基づき、セルトリオンが集計した結果によると、ラムシマは去る7月、日本のインフリキシマブ市場で48%の処方シェアを記録しました。
先発医薬品を含め、計4つのインフリキシマブ製品が競合している日本市場で、初めて1位を獲得したのです。セルトリオンは、日本での発売から約11年を経てラムシマが首位に立った背景として、現地市場の特性に合わせた販売戦略を挙げました。
バイオシミラーの薬価が安くても実感できない日本のIBD市場一般的に、バイオシミラーの最大の競争力のひとつは、先発医薬品よりも低い価格です。しかし、日本では疾患によっては、こうした価格競争力が実際の処方につながらない場合があります。
代表的な分野が、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)などの炎症性腸疾患(IBD)です。日本には、患者の医療費負担を軽減するための「高額療養費制度」が運用されており、潰瘍性大腸炎とクローン病は、日本政府の「指定難病」にそれぞれ含まれています。
高額療養費制度とは、患者が1か月間に負担した医療費が、年齢や所得などに応じて定められた上限額を超えた場合、その超過分を公的医療保険が支援する制度です。このため、高価なバイオ医薬品を使用している一部の患者の場合、先発医薬品から比較的安価なバイオシミラーに切り替えても、体感される自己負担額の差がそれほど大きくない可能性があります。
指定難病とは、特定の疾患について、患者が一般的な自己負担率と所得水準に基づく月額上限額のいずれか低い方の金額が適用されるようにし、医療費の負担を軽減する制度です。結局、薬価が下がってもその差が患者の実際の負担軽減に完全にはつながらない場合があり、バイオシミラーへの切り替えに対する経済的なインセンティブが相対的に弱まることになります。
日本のバイオシミラー協議会が2020年に実施した専門家座談会でも、同様の指摘がなされました。当時の兵庫医科大学炎症性腸疾患センター内科診療部長であった渡辺健二氏は、「IBDは医療費支援制度により自己負担上限額が非常に低いため、バイオシミラーに切り替えても患者の自己負担額が減少する事例は少ない」と述べました。
日本の厚生労働省もまた、過去、インフリキシマブなど一部の成分において、公的医療費支援制度がバイオシミラーへの切り替えのインセンティブを低下させる要因となり得ると分析しました。つまり、日本のIBD市場は、バイオシミラーがオリジナル薬よりも安いという価格競争力だけでは勝負が難しい環境にあると言えます。
価格の代わりに「足で稼ぐ営業」…ラムシマを首位に導いた11年にわたる長期戦こうした状況下で、セルトリオンが選んだのは長期戦でした。日本の地場製薬会社と提携したのはもちろん、直接販売体制も稼働させ、市場内の死角を最小限に抑えながら、ラムシマの処方拡大を牽引しました。
セルトリオンは、現地の製薬市場の特性に合わせた日本型販売戦略に力を注いできました。 セルトリオンは、日本市場では国内企業の影響力が大きいと判断し、日本化薬(Nippon Kayaku)をパートナー企業に選定して、ラムシマの初期市場定着と処方拡大に乗り出しました。日本市場への理解と営業ノウハウを蓄積し、現地の専門人材を拡充した後、2017年末にはセルトリオンの日本法人もラムシマの販売に本格的に参入しました。
現地のパートナーと自社の営業網を併用する「ツートラック戦略」を採用したのです。大規模病院から中小規模の医療機関まで供給チャネルが細分化されている日本において、セルトリオン日本法人とパートナー企業が、それぞれ強みを持つチャネルに集中することで、営業の死角を減らしたというのが同社側の説明です。
現在、セルトリオン日本法人には、営業専任スタッフを含め約80名の役職員が勤務しています。これは、セルトリオンの海外法人全体の人員の約8%に相当する規模です。日本市場において、長期にわたり直接的な接点を増やすために、相当な人員を投入してきたことになります。
セルトリオン日本法人のイ・ジュンヒョクチーム長は、「日本の製薬市場では、医療機関ごとの特性や意思決定構造を考慮した持続的な現場営業が重要だ」とし、「単純な価格競争よりも、医療従事者との接点を継続的に拡大して長期的な信頼を築くと同時に、現地市場の環境に最適化された営業・マーケティング戦略を着実に推進したことが、ラムシマの成果につながった」と説明しました。
こうした成果は、グローバル製薬会社が日本国内での医薬品の直販をやめ、現地企業に委託する事例とは対照的だという評価も出ています。
サノフィは去る4月から、日本の大保薬品に「ゼブタナ」の日本における販売・マーケティング業務を移管しました。ゼブタナは2014年の日本発売以来、サノフィが直販してきた前立腺がん治療薬です。業界関係者は、「これはグローバル大手製薬会社でさえ日本での直販を断念するほど、現地の営業活動が困難であることを示す事例だ」と解釈しました。
日本のバイオシミラー政策も追い風…「ラムシマSC」まで出撃待機最近、
日本政府の政策もバイオシミラーに友好的な方向へと動いています。日本の厚生労働省は、2029年度末までにバイオシミラーが80%以上を占める品目を全体の60%以上に引き上げるという目標を掲げ、使用拡大政策を推進しています。
セルトリオンは、ラムシマを足掛かりに、日本の自己免疫疾患市場においてポートフォリオ戦略を強化しています。現在、ラムシマ以外にも、アダリムマブバイオシミラー「ユフライマ」、トシリズマブバイオシミラー「アプトズマ」、ウステキヌマブバイオシミラー「ステキマ」を販売しています。 来年には、皮下注射(SC)製剤である「ラムシマSC」の日本での発売も準備しています。
11年ぶりに確保したラムシマのトップの座が、単一製品の成果にとどまらず、後続製品の市場定着を早める足掛かりとなるかどうか、期待される点です。
イ・チーム長は、「セルトリオンはラムシマ以外にも、ユーフライマ、アプトズマなど競争力のある治療薬を多岐にわたり保有しているだけに、より多くの日本の患者様に治療の恩恵が届くよう、製品ごとの事業戦略をさらに緻密に推進していく計画です」と述べました。