[イーデイリー マーケットinSoyoung Park 記者] 順調に運営されていた事業の一部を、突然、人口が半減した「消滅危機地域」に移転させた日本の大企業があります。社員たちの反応は意外なものでした。移転を希望する社員が後を絶たず、2000人に達する社員が次々と集まりました。人材サービス大手のパソナグループの話です。同社は2020年、東京で運営していた本社機能の一部を、兵庫県淡路島に移転しました。
淡路島は、日本の大阪や神戸の近くに位置する島です。かつて22万人に達していた人口は、若年層の大都市への流出などにより、12万人程度まで減少していました。そんな淡路島が、再び活気づいています。パソナグループが、人、企業、スタートアップを呼び込み、新しい産業を創出して地域経済を再生させる取り組みに着手して以来のことです。 今や淡路島は、民間主導で「地域消滅」の危機を克服し、持続可能な未来を切り拓く新たなモデルとなりつつあります。
パソナグループで淡路島の地域活性化事業を統括する、パソナグループ常務執行役員兼パソナツーリズム代表取締役社長の松村拓司氏は、「パソナが考える地域活性化の出発点は、単なる財政支援や施設開発にはない」と強調しました。人が地域に移住し、そこで新たな雇用や事業を創出できなければならないという哲学が重要だという意味です。
『イーデイリー』は、韓国観光公社と観光分野における協力案を議論するために訪韓した、パソナ・ツーリズムの松村社長にインタビューを行いました。同氏から、パソナの地域エコシステム活性化戦略と哲学について伺いました。また、パソナが描く韓国企業・スタートアップとの協力の青写真についても探りました。
パソナ・ツーリズム代表取締役社長の松村拓司氏。(写真=パソナ)
パソナ・ツーリズムの松村拓司社長は、パソナが2008年から淡路島で農業人材を育成するなど、地域活性化事業を進めてきたと説明しました。当時、パソナは農業と芸術を融合させた雇用を創出しました。若者や専門人材が島で働ける環境を整えたのです。その後、同社の事業領域は観光や文化・芸術、教育、ウェルビーイングなどへと広がりました。
パソナは2020年、東京にあった本社の主要機能の一部を淡路島へ分散移転すると発表しました。単にオフィスを移すだけではありませんでした。同社は、東京の社員を淡路島に定着させるため、生活環境までも共に整備しました。 例えば、遊休施設をオフィススペースや保育施設に転用し、住居と教育を連携させるなど、社員とその家族が地域で生活できる基盤を拡充しました。松村社長は、「新しい事業を生み出し、それを他の地域にも適用できるよう、淡路島を『地域活性化モデル』として発展させていこうという構想でした」と当時を振り返りました。
パソナは現在、淡路島で△ウェルネスライフ △国際ハブ △アート・カルチャー △ベンチャーアイランドの4つの事業を重点的に推進しています。多様な産業を創出し、様々な分野の人材を誘致します。そして、彼らが新たな事業を生み出すという好循環を構築するという構想です。
「ベンチャーアイランド」の構築は、毎年「淡路ウェルビーイング・ビジネスコンテスト(Awaji Well-being Business Contest)」を開催することで具体化されています。今年のイベントは「身体・心・つながり」をテーマに、11月13日に開催されます。 分野は、△ヘルスケア △農水産食品 △エンターテインメント △教育 △エネルギー △人工知能(AI) △ロボットなど多岐にわたります。関連する研究者や起業家、スタートアップを募集します。最終受賞者には、パソナとの事業協力・スケールアップを検討するインキュベーションプログラムへの参加機会が提供されます。パソナが組成したファンドからの資金調達も検討されます。
パソナは、これを日本企業のみに限定しない方針です。同社は「韓国企業だけでなく、先進的な技術と専門性を有する世界各国の企業と協力していきたい」とし、「特に韓国は、コンテンツビジネスやエンターテインメント産業、それに連携した映像技術が非常に発展しており、大きな関心を寄せています」と述べました。
韓国企業と協力した実際の事例もあります。パソナは今年1月、韓国の没入型コンテンツ制作会社であるVIVテクノロジーズ(VIV technologies)と「パソナ・ヴィヴ・ジャパン(PASONA VIV JAPAN)」を設立しました。両社は、AIと拡張現実(XR)を基盤としたコンテンツを日本で事業化します。ウェルビーイングとエンターテインメントを融合させた新規事業も発掘する計画です。
淡路島にあるパソナオフィスの全景。(写真=パソナ)
スタートアップや人材を地域に呼び込むためには、雇用を創出するだけでは不十分です。都市を離れて島で生活するに値する理由が伴わなければなりません。外部から人や企業が継続的に島を訪れるようなコンテンツも必要です。これが、パソナが地域のベンチャーエコシステムの構築と同時に、観光・宿泊・文化・ウェルネス施設の開発に力を注いでいる背景です。
最近、特に力を入れている分野はウェルネス観光です。パソナは昨年、ウェルネス観光を通じた地域活性化を目標に、別法人を設立しました。今年6月には、淡路島に長期滞在型のウェルネス施設「ザ・パソナ・ネイチャーバース・リトリート(THE PASONA natureverse retreat)」を開設しました。栄養・運動・睡眠を中心に、個人別のプログラムを提供する57室規模の施設です。
パソナは、企業の研修やビジネスミーティング、教育、ウェルネスなど、多様な事業を観光と連携させる取り組みも進めています。これに合わせて、パソナ・ツーリズムも淡路島を「美食・文化芸術・ウェルビーイングの島」にしようとしています。世界中の人々が淡路島を訪れるようにするという目標です。 韓国との観光協力の可能性も視野に入れています。松村社長は、「神戸空港の国際化と航空便の拡大を機に、韓国観光公社などとインバウンド観光客誘致に向けた協力を協議している」と述べました。
パソナが淡路島で進めている試みは、「企業を1社誘致すれば地域が活性化するという」方程式とは一線を画しています。人材を地域に呼び込み、その人材が働く企業やスタートアップを創出し、さらに彼らが暮らし、滞在できる観光・文化・教育環境を共に整備するという方式です。
同氏は、「淡路島で収益を生み出せる地域活性化モデルを構築した後、他の地域へ広げていくという目標も掲げています」とし、「少子高齢化や首都圏への集中といった似たような問題を抱えている韓国にとっても、淡路島で行われている実験が参考事例になるだろうと考えています」と語りました。
淡路島は、日本の大阪や神戸の近くに位置する島です。かつて22万人に達していた人口は、若年層の大都市への流出などにより、12万人程度まで減少していました。そんな淡路島が、再び活気づいています。パソナグループが、人、企業、スタートアップを呼び込み、新しい産業を創出して地域経済を再生させる取り組みに着手して以来のことです。 今や淡路島は、民間主導で「地域消滅」の危機を克服し、持続可能な未来を切り拓く新たなモデルとなりつつあります。
パソナグループで淡路島の地域活性化事業を統括する、パソナグループ常務執行役員兼パソナツーリズム代表取締役社長の松村拓司氏は、「パソナが考える地域活性化の出発点は、単なる財政支援や施設開発にはない」と強調しました。人が地域に移住し、そこで新たな雇用や事業を創出できなければならないという哲学が重要だという意味です。
『イーデイリー』は、韓国観光公社と観光分野における協力案を議論するために訪韓した、パソナ・ツーリズムの松村社長にインタビューを行いました。同氏から、パソナの地域エコシステム活性化戦略と哲学について伺いました。また、パソナが描く韓国企業・スタートアップとの協力の青写真についても探りました。
地域消滅の解決策は「人」…スタートアップまで淡路島へ
パソナ・ツーリズムの松村拓司社長は、パソナが2008年から淡路島で農業人材を育成するなど、地域活性化事業を進めてきたと説明しました。当時、パソナは農業と芸術を融合させた雇用を創出しました。若者や専門人材が島で働ける環境を整えたのです。その後、同社の事業領域は観光や文化・芸術、教育、ウェルビーイングなどへと広がりました。
パソナは2020年、東京にあった本社の主要機能の一部を淡路島へ分散移転すると発表しました。単にオフィスを移すだけではありませんでした。同社は、東京の社員を淡路島に定着させるため、生活環境までも共に整備しました。 例えば、遊休施設をオフィススペースや保育施設に転用し、住居と教育を連携させるなど、社員とその家族が地域で生活できる基盤を拡充しました。松村社長は、「新しい事業を生み出し、それを他の地域にも適用できるよう、淡路島を『地域活性化モデル』として発展させていこうという構想でした」と当時を振り返りました。
パソナは現在、淡路島で△ウェルネスライフ △国際ハブ △アート・カルチャー △ベンチャーアイランドの4つの事業を重点的に推進しています。多様な産業を創出し、様々な分野の人材を誘致します。そして、彼らが新たな事業を生み出すという好循環を構築するという構想です。
「ベンチャーアイランド」の構築は、毎年「淡路ウェルビーイング・ビジネスコンテスト(Awaji Well-being Business Contest)」を開催することで具体化されています。今年のイベントは「身体・心・つながり」をテーマに、11月13日に開催されます。 分野は、△ヘルスケア △農水産食品 △エンターテインメント △教育 △エネルギー △人工知能(AI) △ロボットなど多岐にわたります。関連する研究者や起業家、スタートアップを募集します。最終受賞者には、パソナとの事業協力・スケールアップを検討するインキュベーションプログラムへの参加機会が提供されます。パソナが組成したファンドからの資金調達も検討されます。
パソナは、これを日本企業のみに限定しない方針です。同社は「韓国企業だけでなく、先進的な技術と専門性を有する世界各国の企業と協力していきたい」とし、「特に韓国は、コンテンツビジネスやエンターテインメント産業、それに連携した映像技術が非常に発展しており、大きな関心を寄せています」と述べました。
韓国企業と協力した実際の事例もあります。パソナは今年1月、韓国の没入型コンテンツ制作会社であるVIVテクノロジーズ(VIV technologies)と「パソナ・ヴィヴ・ジャパン(PASONA VIV JAPAN)」を設立しました。両社は、AIと拡張現実(XR)を基盤としたコンテンツを日本で事業化します。ウェルビーイングとエンターテインメントを融合させた新規事業も発掘する計画です。
企業を呼び込むだけでは不十分…観光・ウェルネスで「滞在する理由」を創出
スタートアップや人材を地域に呼び込むためには、雇用を創出するだけでは不十分です。都市を離れて島で生活するに値する理由が伴わなければなりません。外部から人や企業が継続的に島を訪れるようなコンテンツも必要です。これが、パソナが地域のベンチャーエコシステムの構築と同時に、観光・宿泊・文化・ウェルネス施設の開発に力を注いでいる背景です。
最近、特に力を入れている分野はウェルネス観光です。パソナは昨年、ウェルネス観光を通じた地域活性化を目標に、別法人を設立しました。今年6月には、淡路島に長期滞在型のウェルネス施設「ザ・パソナ・ネイチャーバース・リトリート(THE PASONA natureverse retreat)」を開設しました。栄養・運動・睡眠を中心に、個人別のプログラムを提供する57室規模の施設です。
パソナは、企業の研修やビジネスミーティング、教育、ウェルネスなど、多様な事業を観光と連携させる取り組みも進めています。これに合わせて、パソナ・ツーリズムも淡路島を「美食・文化芸術・ウェルビーイングの島」にしようとしています。世界中の人々が淡路島を訪れるようにするという目標です。 韓国との観光協力の可能性も視野に入れています。松村社長は、「神戸空港の国際化と航空便の拡大を機に、韓国観光公社などとインバウンド観光客誘致に向けた協力を協議している」と述べました。
パソナが淡路島で進めている試みは、「企業を1社誘致すれば地域が活性化するという」方程式とは一線を画しています。人材を地域に呼び込み、その人材が働く企業やスタートアップを創出し、さらに彼らが暮らし、滞在できる観光・文化・教育環境を共に整備するという方式です。
同氏は、「淡路島で収益を生み出せる地域活性化モデルを構築した後、他の地域へ広げていくという目標も掲げています」とし、「少子高齢化や首都圏への集中といった似たような問題を抱えている韓国にとっても、淡路島で行われている実験が参考事例になるだろうと考えています」と語りました。