イシューと動向

「資産クラスの分散」を無意味にしたAI…「基準ポートフォリオ」で新たな道を切り開く投資家たち

[代替投資の分散に関する再解釈] ③ 「分散して投資したのに、結局すべて同じところ」…AIが揺るがした分散投資 資産ごとの区分ではなく、「リスク資産・安全資産」という観点で捉える 「基準ポートフォリオ」も万能ではない…偏り現象への懸念も 組織改編も課題…「どちらか一方を選ぶより、融合させるべき」

KIM SUNG-SOO
2026-08-25 07:12:04
[イーデイリー マーケットinKIM SUNG-SOO 記者] 最近、代替投資市場では、「リスクとリターン」の観点からポートフォリオ全体を見渡す「基準ポートフォリオ」の導入の重要性がますます高まっています。

公募・私募を問わず、人工知能(AI)という一つのテーマに資金が集中するにつれ、機関投資家の伝統的な「資産クラス分散」戦略に警告灯が点灯したためです。株式・債券・代替投資に資産を分散して組み入れても、各資産クラスの原資産がAIという同じ方向を向いている場合、実質的な分散効果を期待することは困難です。

ただし、基準ポートフォリオもまた、運用担当者の判断に過度に依存した場合、特定のテーマへの偏りを助長する可能性があるという限界があります。結局のところ、戦略的資産配分(SAA)と基準ポートフォリオのどちらか一方を選ぶのではなく、両戦略の長所を適切に組み合わせるべきだという分析です。
「分散したのに、結局同じ場所へ」…AIが揺るがした分散投資
24日、金融投資業界によると、最近、機関投資家(LP)の間では、単に資産クラスごとの投資比率を調整する段階から脱却し、実際のポートフォリオ全体のリスクと期待収益を基準に投資決定を下すべきだという問題意識が高まっています。

(写真=AFP)
機関投資家たちが、資産クラスの分散だけでは十分なリスク管理が難しいと見ている背景には、「AI投資ブーム」があります。公募市場はもちろん、プライベート・エクイティ(PE)、プライベート・クレジット、不動産、インフラなどの代替投資市場に至るまで、AIという同一のテーマに資金が集中しているためです。

株式市場ではAI関連の大型株の比重が高まり、代替投資市場ではAI関連企業への投資やデータセンター、AIインフラプロジェクトなどが主要な投資先として台頭しているといった具合です。

問題は、投資対象の「器」が異なるだけで、実際のリスク要因は似通ってしまう可能性があるという点です。株式や債券、不動産、インフラにそれぞれ資金を分散して投資したとしても、これらの資産の基礎資産がすべてAIの成長に対する期待を共有している場合、一方のショックが他の資産クラスに波及する可能性が高まります。

従来、代替投資の核心的な利点として挙げられてきた「資産クラス間の低い相関関係」と「分散効果」が弱まる可能性があるという意味です。
資産ごとの区分ではなく、「リスク資産・安全資産」として捉える
この過程で注目されているのが「基準ポートフォリオ」です。

伝統的な戦略的資産配分(SAA)が、株式・債券・代替投資など資産クラスごとの目標投資比率を定める方式であるのに対し、基準ポートフォリオは、資産クラスそのものよりも「リスク資産」と「安全資産」という大きな枠組みでポートフォリオを設計する方式です。

重要なのは、投資部門ごとの成果ではなく、機関全体のリスクと期待収益を基準に資産を見ることです。

SAAでは、株式チームや債券チーム、代替投資チームなどが、それぞれ決められたベンチマークを基準に成果を管理する場合が多いです。このため、各部門がポートフォリオ全体よりも、自身の成果や目標比率を守ることだけに集中してしまう可能性があります。

いわゆる「サイロ効果」です。サイロ効果とは、組織内の各部門が互いに十分に意思疎通を図らないまま、自部門の利益や成果ばかりを優先する「部門エゴイズム」を意味します。

例えば、債券チームは金利上昇に伴う評価損を懸念して債券の比重拡大を避け、株式チームは株価下落の可能性を理由に株式の比重縮小に反対するといった具合です。各部署の判断だけを見れば合理的であるかもしれませんが、最高投資責任者(CIO)の立場からは、ポートフォリオ全体のリスクとリターンを考慮して迅速に資産を再配分することが難しくなる可能性があります。

基準ポートフォリオは、このような資産クラスや組織間の壁を相対的に低くすることに焦点を当てています。特定の資産を必ず一定割合保有しなければならないという枠組みから脱却し、ポートフォリオ全体のリスク総量と期待収益を基準に、資産を機動的に再配分できるという利点があります。
(写真=ゲッティイメージズ)
「基準ポートフォリオ」も万能ではない…偏りの懸念も
ただし、基準ポートフォリオが資産配分の万能な解決策ではないという指摘も出ています。

基準ポートフォリオでは、SAAに比べて運用担当者の判断が相対的に重要になります。どの資産をリスク資産と見なすか、どの程度のリスクを許容するかなどを決定する過程で、運用担当者の主観的な判断が介入する余地が大きいためです。

特にAIのように、市場の期待が一方に強く偏る状況では、むしろこのような柔軟性がリスク要因となり得ます。

運用担当者がAIの成長性や収益性を過度に楽観視した場合、「基準ポートフォリオ」という名目の下で、AI関連資産への投資比率を引き続き増やしていく可能性も排除できません。資産クラスごとの垣根を取り払ったことが、かえって特定のテーマへの偏りを深刻化させる結果につながる恐れがあるということです。

一方、SAAは各資産ごとの目標比率と上限・下限を設定し、これを一定の範囲内で管理します。特定のテーマに対する過度な楽観論が生じたとしても、資産クラスごとの投資比率を一定水準に制限できるという点で、リスク管理に有利です。

結局のところ、基準ポートフォリオとSAAのどちらかが絶対的に優れた戦略だとは言い難いという評価です。長期的な収益率を比較しても、両戦略の成果の優劣は概ね五分五分であり、明確な勝者が決まらないことが分かっています。
組織再編も課題…「どちらか一方を選ぶより、組み合わせるべき」
基準ポートフォリオを実行するために、組織構造をどのように変えるかという点も現実的な課題です。

各資産クラスごとに部署やチームが分かれて専門的な運用を行う構造では、基準ポートフォリオ式のような即時の資産再配分が困難です。組織文化が保守的であったり、ローテーション制度が導入されている場合には、大規模な組織再編やシステム変更を推進することも難しくなります。

これに伴い、機関投資家にとって必要なのは、SAAを基準ポートフォリオとして完全に置き換えることではなく、両戦略の長所を適切に組み合わせる「バランス感覚」であるという分析が出ています。

SAAを用いて資産クラスごとの最小・最大比重を設定し、過度な偏りを防ぐと同時に、基準ポートフォリオを活用してポートフォリオ全体としてリスクと期待収益を点検する方式です。

特に、AIのように複数の資産クラスにまたがって同時に影響を及ぼすテーマが登場した状況では、「株式何パーセント(%)、債券何パーセント、代替投資何パーセント」という資産クラスごとの区分だけでは、ポートフォリオの実際のリスクを把握することが難しくなりました。

今後は、投資したファンドの名称や資産クラスだけでなく、その下にどのような企業や産業が含まれているかまで精査する方式へと、リスク管理の範囲が広がる可能性が高いです。

あるLP関係者は、「結局のところ、機関投資家の資産配分戦略は、『どれだけ多く分散させるか』から、『実際にどれほど異なるリスクを抱えているか』を問う方向へと移行しつつある」とし、「具体的な資産配分手法としては、SAAも基準ポートフォリオもそれぞれ長所と短所があるため、双方の長所を幅広く反映する方向性を導入する必要がある」と述べました。

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