[イーデイリー マーケットinKIM SUNG-SOO 記者] 資産運用業界の競争の在り方が変わりつつあります。かつては、「海外株式はどこが得意か」、「不動産はどこが得意か」といったように、資産クラスごとに運用会社を探すのが一般的でした。一方、現在では、機関投資家のポートフォリオ全体を精査し、不足している部分を特定して補う、いわゆる「ソリューションビジネス」が新たな競争力として台頭しています。
単に商品を作って販売するにとどまらず、機関投資家のポートフォリオを「診断」した上で、必要な戦略を提案する方式です。運用会社の立場からは、特定の資産をどれだけうまく運用できるかということに加え、機関投資家のポートフォリオにどのような部分が不足しているかを見極める能力が重要になってきたと言えます。
(写真=ゲッティイメージズ)
特に海外投資市場において、こうした変化が顕著です。機関投資家が運用会社を選定する際、単に個々の運用会社のトラックレコード(実績記録)や特定の資産クラスの競争力だけを見るのではなく、ポートフォリオ全体で生じるリスクや不足している領域まで合わせて検討し始めたためです。
例えば、機関投資家が海外株式ポートフォリオの大部分を成長株中心に運用していると仮定してみましょう。成長株が市場を主導している間は問題ありませんが、市場の重心がバリュー株へと移ると、相対的に収益率を逃す可能性が高まります。
この場合、機関投資家は既存の成長株運用会社を変更する代わりに、不足しているバリュー(Value)ファクターを別のポートフォリオで補う戦略を採用することができます。ポートフォリオ全体の弱点を見つけ出し、別の運用戦略で補完するのです。
代表的な事例が、国民年金の「コンプリート・ポートフォリオ(Completion Portfolio)」です。
「コンプリート・ポートフォリオ」(補完戦略)とは、国民年金のような大型年金基金の資産配分戦略において、複数の外部運用会社(アクティブ・マネージャー)に資金を委託した際に発生する、意図しないリスクやスタイルの偏りを補完・調整するポートフォリオのことを指します。
これらの個別の委託マネージャーたちのエクスポージャーが組み合わさることで、セクター、地域、ファクターに関連する特定のリスクに偏るバイアス(bias)が生じる可能性があります。この場合、機関投資家の長短期の投資機会およびリスク配分を考慮したポートフォリオのポジショニングと乖離する恐れがあります。
コンプリメンタリー・ポートフォリオの役割は、機関が保有するポートフォリオ全体を分析し、不足している資産やファクター、投資戦略などを特定して、これを補完することです。単に新しい資産を追加するのではなく、既存のポートフォリオの構造的な隙間を見つけ、市場環境の変化に対応し、リスク調整後リターンを高めることが目的です。
例えば、成長株の比重が高い海外株式ポートフォリオであれば、バリュー株や特定のファクターを追加するといった形です。国民年金は独自にポートフォリオを分析して不足している領域を提示し、運用会社は当該領域を補完できる戦略を提案・運用する仕組みを活用しています。
このような変化は、海外投資市場の競争構図にも影響を及ぼしています。
機関投資家の立場からすれば、グローバルな大手運用会社であるという理由だけで資金を預ける理由は少なくなっています。すでに保有している資産や戦略を分析した上で、自身のポートフォリオにどのような組み合わせが必要かを提示してくれる運用会社の方が、むしろ魅力的な選択肢となり得ます。
(写真=イメージトゥデイ)
特に市場の変動性が高まるほど、こうしたソリューションの必要性は高まります。特定のスタイルや資産への偏りが強い場合、市場を主導するテーマが変わった際にポートフォリオ全体が影響を受ける可能性があるためです。
国民年金で始まったコンプリート・ポートフォリオ方式は、他の機関にも広がりつつあるようです。郵政事業本部も、同様のコンプリート・ポートフォリオの導入を開始したと伝えられています。機関投資家たちは、徐々に自らのポートフォリオを直接診断し、その結果に合わせて外部運用会社に具体的な役割を求める方向へと動いているのです。
つまり、今や機関投資家は、特定の資産クラス自体の収益率だけで運用会社を評価するのではなく、ポートフォリオ全体の中でその戦略がどのような役割を果たせるかという視点へと変化しつつあります。
業界では、これを踏まえ、機関投資家の運用方式そのものが一段階進化したと見ています。かつてのように複数の資産クラスに運用会社をそれぞれ配置する段階からさらに進み、資産全体をひとつのポートフォリオとして捉え、その中で不足している部分を見極める方式へと、資産運用の視点が変わってきているからです。
金融投資業界の関係者は、「機関の立場からすれば、もはや単に特定の資産をうまく運用するだけでは不十分です」とし、「ポートフォリオ全体においてどの部分を補完すべきかを診断し、それにふさわしい解決策を提示する能力が、運用会社の重要な競争力となっています」と述べました。
単に商品を作って販売するにとどまらず、機関投資家のポートフォリオを「診断」した上で、必要な戦略を提案する方式です。運用会社の立場からは、特定の資産をどれだけうまく運用できるかということに加え、機関投資家のポートフォリオにどのような部分が不足しているかを見極める能力が重要になってきたと言えます。
「海外株式が得意です」よりも「ここが空いています」9日、金融投資業界によると、資産運用業界のビジネスモデルは、過去の単純な商品販売から脱却し、機関投資家の具体的なニーズを解決する「ソリューションビジネス」へと進化しています。
例えば、機関投資家が海外株式ポートフォリオの大部分を成長株中心に運用していると仮定してみましょう。成長株が市場を主導している間は問題ありませんが、市場の重心がバリュー株へと移ると、相対的に収益率を逃す可能性が高まります。
この場合、機関投資家は既存の成長株運用会社を変更する代わりに、不足しているバリュー(Value)ファクターを別のポートフォリオで補う戦略を採用することができます。ポートフォリオ全体の弱点を見つけ出し、別の運用戦略で補完するのです。
代表的な事例が、国民年金の「コンプリート・ポートフォリオ(Completion Portfolio)」です。
「コンプリート・ポートフォリオ」(補完戦略)とは、国民年金のような大型年金基金の資産配分戦略において、複数の外部運用会社(アクティブ・マネージャー)に資金を委託した際に発生する、意図しないリスクやスタイルの偏りを補完・調整するポートフォリオのことを指します。
国民年金が導入した「コンプリート・ポートフォリオ」コンプリート・ポートフォリオがなければ、機関投資家が多数のマネージャーを通じて委託運用を行う場合、個々の委託マネージャーは互いの保有銘柄を共有せず、それぞれの特化した戦略で超過収益を達成することに集中します。
これらの個別の委託マネージャーたちのエクスポージャーが組み合わさることで、セクター、地域、ファクターに関連する特定のリスクに偏るバイアス(bias)が生じる可能性があります。この場合、機関投資家の長短期の投資機会およびリスク配分を考慮したポートフォリオのポジショニングと乖離する恐れがあります。
コンプリメンタリー・ポートフォリオの役割は、機関が保有するポートフォリオ全体を分析し、不足している資産やファクター、投資戦略などを特定して、これを補完することです。単に新しい資産を追加するのではなく、既存のポートフォリオの構造的な隙間を見つけ、市場環境の変化に対応し、リスク調整後リターンを高めることが目的です。
例えば、成長株の比重が高い海外株式ポートフォリオであれば、バリュー株や特定のファクターを追加するといった形です。国民年金は独自にポートフォリオを分析して不足している領域を提示し、運用会社は当該領域を補完できる戦略を提案・運用する仕組みを活用しています。
このような変化は、海外投資市場の競争構図にも影響を及ぼしています。
機関投資家の立場からすれば、グローバルな大手運用会社であるという理由だけで資金を預ける理由は少なくなっています。すでに保有している資産や戦略を分析した上で、自身のポートフォリオにどのような組み合わせが必要かを提示してくれる運用会社の方が、むしろ魅力的な選択肢となり得ます。
「誰が有名か」よりも「誰が私の弱点を補ってくれるか」運用会社もこれに合わせて、商品自体の競争力だけでなく、機関ごとにカスタマイズされたソリューションを提示する能力を強化しています。投資家のニーズがますます細分化されるにつれ、運用会社の役割も「商品供給者」から「ポートフォリオ設計者」へと拡大しつつあります。
特に市場の変動性が高まるほど、こうしたソリューションの必要性は高まります。特定のスタイルや資産への偏りが強い場合、市場を主導するテーマが変わった際にポートフォリオ全体が影響を受ける可能性があるためです。
国民年金で始まったコンプリート・ポートフォリオ方式は、他の機関にも広がりつつあるようです。郵政事業本部も、同様のコンプリート・ポートフォリオの導入を開始したと伝えられています。機関投資家たちは、徐々に自らのポートフォリオを直接診断し、その結果に合わせて外部運用会社に具体的な役割を求める方向へと動いているのです。
つまり、今や機関投資家は、特定の資産クラス自体の収益率だけで運用会社を評価するのではなく、ポートフォリオ全体の中でその戦略がどのような役割を果たせるかという視点へと変化しつつあります。
業界では、これを踏まえ、機関投資家の運用方式そのものが一段階進化したと見ています。かつてのように複数の資産クラスに運用会社をそれぞれ配置する段階からさらに進み、資産全体をひとつのポートフォリオとして捉え、その中で不足している部分を見極める方式へと、資産運用の視点が変わってきているからです。
金融投資業界の関係者は、「機関の立場からすれば、もはや単に特定の資産をうまく運用するだけでは不十分です」とし、「ポートフォリオ全体においてどの部分を補完すべきかを診断し、それにふさわしい解決策を提示する能力が、運用会社の重要な競争力となっています」と述べました。